矢尾板克則展によせて
瀧澤直人[公務員]

矢尾板克則はパンクでロックなお兄さんである。同時に
心優しいよき家庭人である。のどかさと激しさの絶妙な
バランスは作品にも反映している。全国に熱いファンを
持つ彼の存在を、新潟は大いに自慢していい。
確かな技術に支えられ独特の造形・色彩感覚が光る陶器
と並んで、オブジェもまた魅力的。今回はKOYAであ
る。陶板で作られた屋根、柱、壁、床、それらは此処に
ある空間を様々なカタチに囲い込むことで、別の時間と
空間を現出する。
捻じ曲がり。隙間が開き。ひび割れ。剥落し。そこに在
る。欠片ひとつでもその肌合いを見つめていると、流れ
た時に思いが誘われ、此岸の時をしばし忘れる。
その「小屋」に人の棲む形跡はない。それは観る私たち
の心が遊ぶ空間なのだから。ただそれは壺、中天ではな
く此方に向かって開かれている。私たちは彼岸と此岸を
行き来する不思議な経験をする。ギャラリーmu・an
のスタイリッシュかつ暖かい空間は、YAOのKOYA
をしっとり受け容れ、また私たちをも包み込んでくれる。
有り難い。 (新潟日報「あーとぴっくす」掲載)


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