白石晃一展によせて
馬場省吾[長岡造形大学教授]

白石晃一は今回が初の個展である。彼は学部・大学院と
金属工芸の鋳金を専門に学んだ。そのころから空間を意
識した作品を手掛け、修了制作ではブロンズによる球形
の有機形態とそれを内包する細い鋼材で造られたキュー
ブとの構成作品を発表している。
その後、表現手法を工芸形態から空間・ミクストメディ
アを意識したインスタレーションへと移行させ、昨年は
虹の観測小屋「GO WEST!」を発表した。それは、
古いリアカーを改造し小屋を載せた移動可能のものであ
り、その表情は錆び付き朽ち果てそうなトタンと、木や
ベニヤ板の切れ端などをツギハギに打ちつけたもので、
外部に仕組まれた太陽電池パネルにより内部暗室にて虹
を観測することができる装置を付随するもので、観客は
この内部の空間に虹を発見するのである。
このあたりから、白石の考える世界観が茫洋とだが見え
てくる。作品の成立は形を観せるものではなく、絶えず
ウツロウもの(虹)を、作者と観者のインタラクティブ
な関係を目指す過程で実体化させることを目論んでいる
ようだ。
次に彼が試みたのが、今回の作品の前身である「Rec
onciling project」である。弥彦野外
アート展でのプロジェクトであり、ここで白石はパフォ
ーマンスによる表現を試みる。このときの映像には、修
験者のような白装束に身を固め、背中にはまるで俵屋宗
達の描いた雷神が背負う円形の太鼓のような、異形の装
置(エンジン部以外はほぼ作者制作)を背負い、弥彦山
の麓から山頂の奥宮まで登山し、奥宮前で背負ったまま
のエンジン付きの虹発生装置「ライジング-01」を稼
動させ、噴霧により虹を発生させるという、神仏をも恐
れぬ!?行為に至った場面が記録されている。結果は今
回の展示での記録映像で確認ができる。



この作品のコンセプトは弥彦に伝わる神話伝説を基に提
示されたものであり、白石と随行する従者?までも頭を
丸め、身を清めて登山する様子など、彼の今までの表現
作品を含めて想うことは、どことなくユーモラスで見る
ものに優しい気持ちを抱かせるのはなぜだろうかと考え
る。ひとつには表現することへの外連味(けれんみ)の
ない真摯な姿勢から発せられるものだからではないだろ
うか。 (新潟日報「あーとぴっくす」掲載)

* * *