GUNの軌跡展によせて
外山文彦[フリーキュレーター・美術作家]

長岡現代美術館が先鋭的な活動をしていた1960年代、
20代の若者達が「新潟現代美術家集団GUN(ガン)」
という前衛芸術グループを結成した。昨秋結成40年を
迎えたことを機に、このたび「GUNの軌跡」展が長岡
で開催される。
GUNといえば、1970年の冬「雪のイメージを変え
るイベント」と称し、一面雪の信濃川河原に農薬散布機
等で絵の具をぶちまけて、雪原に巨大な抽象画を出現さ
せたパフォーマンスが知られる。この行為は当時のアサ
ヒグラフ(1970年3月6日号)の表紙とグラビアを
飾り、新潟から広く世界に発信された。昨年、ロサンゼ
ルスで開催された「芸術・反芸術・非芸術」展(ゲティ
・センター)の講演とスライド上映でも「行為としての
表現」として紹介されるなど、再評価される「新潟現代
美術の動き」のひとつである。
日本で初めて「現代」と銘打ち1964年に開館した長
岡現代美術館はエポックメーキングであったが、GUN
誕生の触媒にもなっている。
同館で当時繰り広げられた世界の最先端の美術に衝撃を
受けた前山忠の呼びかけで、GUNは1967年に結成。
同館のコーヒーコーナーが拠点で、定期的に作品を持ち
寄っては激論が交わされた。
GUNの活動は約3年のスパンで変遷した。結成から1
970年の「雪のイベント」までの3年間を、展覧会や
シンポジウム、ハプニングと称した「行為による表現」
など、芸術運動の方向性を強く打ち出した時期とすると、
1970年からの政治的表現への移行、1972年に新
メンバーを加えての再結集を経て、1975年を境に組
織だった活動から個人活動へと推移する。しかし、以降
もGUNは、その名を語っての組織的なものではないが、
例えば1980年代には、長岡現代美術館跡地へ県内作
家を結集させた「新潟現代美術32人展」への新展開や、
同じころ現代美術を掲げて登場した「創庫美術館」の活
動へのリンクなど、新潟で現代美術が発展していく流れ
のなかにみえる。
前山のほか、主要メンバーの堀川紀夫、関根哲男、佐藤
秀治の個々の奮闘も無論だが、流れを切り開き、それが
「大地の芸術祭」の成功といった現在にまでつながって
いることこそ、GUNの存在の意義深さがあろう。
GUNが展開した「行為による表現」は、絵画や彫刻と
は違い作品自体がかたちとして残らない。そのため後か
ら保存や評価がしづらく、ともすれば資料の散逸という
危機がある。その点からも今回の「GUNの軌跡」展は
意味深い企画。当時の記録写真のほか、発言記録誌など
その足跡を整理、検証し、かつて新潟にもあった前衛美
術開花の生々しい動きを伝えている。単に過去を回顧す
るだけではなく、メンバーとしての6作家の最新作も呈
示しその現在をも問う。
来月には「大地の芸術祭」冬季プログラムの一環として、
「越後妻有・雪アートプロジェクト」が開催される。こ
れはGUNとしてのプロジェクトではないが、参加作家
にはGUNメンバーも多く加わり、1970年の雪のイ
ベントを彷彿させる。GUNのスピリットは今に生き続
けているといえるだろう。


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