「人生は予測できない。読めないということをプラスに
考えるか、マイナスに考えるかで年の取り方は違う」。
98歳。国内最高齢の現役洋画家といわれる長岡市の丸
山正三さんが長岡商工会議所で15日まで個展を開いて
いる。元気の秘密を尋ねると、こんな言葉が返って来た
戦前から絵を描いてきた。年が焦土と化し、多大な犠
牲を出した対戦を振り返り、「一人一人の不幸を別にす
れば、あの戦争にも希望につながる部分があった」と言
う。戦争が終わったとき、新しい時代の到来と、自由へ
の期待があったのだろう丸山さんの作品は明るくて透
明感に満ちている。この画風は、新しい時代を迎える風
の中で生まれてきた。代表的なモチーフはヨーロッパの
街並みと子どもたちだ。最新作も、スペインの路地で

犬を相手に闘牛のまね事に興じる子どもたちである
たちの定まらぬ、可能性の塊のような子どもたちの姿が
好きだという。大きなキャンバスには、子どもたちを見
守り、穏やかに包み込む街が描かれている。それが、大
戦という災厄で丸山さんが見出した希望から生まれた風
景である今回の大震災は、東北の風景と子どもたちと
を引き裂いた。多くの子どもたちが命を落とし、未来へ
の可能性を奪われた。「それが何より切ない」と丸山さ
んは言うしかし、ここからプラスに向けて一歩を踏み
出さなければ、希望を見つけることができない。くじけ
そうになる状況をマイナスに考えない。何度も「予測不
能」を乗り越えてきた大先輩の言葉は道しるべのようだ。


新潟日報「日報抄」掲載

***