小西煕展によせて
野村恵子(京都・ギャラリー恵風

小西煕(ひろし)さんは自由美術協会の会員として活躍
され、また長い間、京都造形芸術大学の教授を務め、後
進の指導に当たってこられました。いつも笑顔を絶やさ
ず、時々ユーモアやほうけたしゃれをおっしゃる温かく
て楽しい先生です。
作品は作家の人生観や人柄を映し出すと申しますが、実
は小西煕自身を鎮座させただけで、もうアート作品にな
ってしまいそうな人なのです。少年のような、はにかみ
純粋さをいつまでも失わない、それでいてかめばかむほ
ど味のでる不思議な作家なのです。
さて、小西煕の作品は、時の流れとともにシリーズ化さ
れていますが、印象に残るひとつに「床屋」シリーズが
あります。日常の何げない風景の奥に、何かが破壊され
るような大きなエネルギーを感じさせる画面。一方その
際に、フランス語らしき文字やかわいいキャラクターの
ようなものが楽しげに登場する。この激しい作品の中に
は、作家の反戦思想、平和を願う切なる祈りが込められ
ているように思います。テーマはとても重いものですが、
そのメッセージは決して押し付けがましくなく、見る側
の心に素直に入って行きます。キャラクター的なものは、
少年の心を持ち続ける作家自身にも感じられます。
そして透明感のある美しい色彩は、どこかヨーロッパの
香りが漂いなんとも言えない品格に満ちています。また、
ドローイングも魅力的です。新潟での初個展で、新しい
発見が楽しみです。
(新潟日報「あーとぴっくす」掲載)

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