ヒラタヒロヒコ展によせて
滝沢ナオト

ヒラタヒロヒコ。と書いてみる。そっと、発語してみる。
ほら、顔がほころぶでしょう。太平洋と二字も共通する
その名が体現するように、おおらかで柔和なヒラタ氏は
誰からも親しまれる。しかしその穏やかな外見の内には、
猛々しいターボエンジンが搭載されているのだっ!それ
は、夢見るエナジィ。日常を生きながら、遠いどこかを
見つめるイマジネーション。そしてお茶目な遊びゴコロ。
子ども顔負けの自由な発想を、大人の知恵と磨かれたス
キルで実行に移すとどうなるか、というその見本がヒラ
タ氏の作品群にはある。キャプションを読んで思わずに
やりとする。「面白きことも無き世を面白く」、生きて
いく方法。大人だからこそ造り出せる世界。
少年のころ、オトナなんてつまらないと思っていた。し
かし、今は言える。大人になるって面白いよ。つまらな
い大人もいる。それは大人になれていない大人か、大人
の意味を勘違いしている大人だ。思春期はいろいろある
けれど、乗り切って本当の大人になれワカモノたち。楽
しいぞー!
「遊びをせんとや生まれけむ」。ホイジンガは人間をホ
モ・ルーデンス(遊戯人)と定義したが、遊びは真剣に
やってこそ楽しいのだと私たちは知っている。人生もし
かり。一見クダラナイことを、真剣に実験するヒラタ博
士は、理知的で涼やかな瞳に狂気・驚喜の炎をきらめか
せているマッドサイエンティストだ。トイボックスのよ
うな研究室から、さあ何が飛び出すか、今からワクワク
する。
(新潟日報「あーとぴっくす」掲載)

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