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<浸蝕する境界>展に寄せて

■「平面」の魅力
「平面」は不思議さと不可解さとをはらんでいる。キャンバスの表面をニードルでキズつければ、
そこに3次元の世界が立ち現われる。平面を2次元とする既成概念が揺さぶられ、平面の存在そ
のものが怪しまれてくる。やがて平面などこの現実空間には存在しないのだと思い至る。
そうであればキャンバスの表面だけにこだわった絵から、平面を問い平面そのものを表現の対象
にすることで、解放された新たな表現の可能性が開けるのではないか。そこからキャンバス布に
穴をあけたり、裏返したり、ハンダゴテで焼いたりしながら表現を試みるようになった。困難で
はあるが無限の追究の世界に繋がる魅力的な作業であると感じている。

■ <浸蝕する境界>
キャンバスを木枠から一旦剥し、裏地に錐などで規則的に穴をあける。次に表地からアクリル絵
の具やインクを塗り、穴から裏地に色を滲み出す。こうしたことを繰り返しながら表と裏の逆転、
キャンバス布を境界とする「向こう側」と「こちら」の断絶と通過、等々の相反するせめぎ合い
が生み出されていく。焦点の定まらない画面の前に佇んでいると、画面の無限空間の向こう側に
げ出されるような、あるいは画面空間に漂っているような、そんな感じが自分にはしてくる。
言葉ではうまく言い表せないが、こうした奇妙さを味わいつつ制作したこれらの作品が、現時点
での「平面」に対する私のひとつの答えである。

■ 表現とは
美術に限らないが、表現の意味と価値はどこにあるのだろう。一言で言うなら、人間社会に定着
した強固な思い込みやその在り方を覆し、モノやコトの真実を顕していくことではないだろうか。
少し大げさになってしまったが、「平面」の追究はそんな限りない地平をも見せてくれる根本的
な「問い」でもあり、歩みを続けていきたいと思う。

池原浩子
2016年11月5日