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2012tanaka田中幸男展

2012年8月29日(水)-9月9日(日) 10:00~18:00
5日(水)は休廊, 最終日は17:00まで.

◆ 田中幸男展によせて
滝沢ナオト 


田中幸男氏の、ストロークによる作品たちは、小品も大作も、画面に刻みつけられる手の動き、その痕跡が印象的だ。筆跡と地の部分との空間意識。画面上で重なり合う透明感ある色彩のバランス。画材に対する水分の比率と吸収する紙質の相互作用によりさまざまな表情を見せるマチエール。いろいろな形で作品が提示されるが、透明水彩やアクリルの筆跡も、それらを白く消すラインも、一気に、あるいは独特のスピード感をもって引かれ、何というか、潔い。
今回見られる小品の、鉛筆で塗られた画面に消しゴムで刻まれた線もまたしかり。
ストロークによる抽象画面をストイックに追及してきた田中氏。それは、確立した手法を繰り返すといったものとは異なっている。繰り返される手の動きが、手くせによるルーティンに堕さない。そこに自己抑制と開放のダイナミックなせめぎ合いがある。自らのコンセプト、デザインによって画面は構築されるのであり、それはすぐれて意図的な営みだが、描く痕跡として現れてくるものに作者自らが驚き心を躍らせている。そしてひたすら手を動かしていく中で、作者は自分自身を否応なしに見つめざるを得ない。作品を提示することは、自らをあきらかにすることでもある。 悠久に繰り返されているような営み。宇宙も、自然界も、人の生も、切り取って見れば瞬間によって構築されている。そんな刹那に対するいとおしさを感じる作品である。

新潟日報「あーとぴっくす」掲載