GALLERY MU·AN
NEWS EXHIBITION RECORD RECORD BLOG CONTACT ABOUT WEBSHOP LINK

 twitter
  Instagram
 FACEBOOK

2011matsuoka松岡達英 手彩銅版画「日本の自然」

2011年5月17日(火)―5月24日(火) 10:00~18:00
会期中無休, 最終日は17:00まで.

◆ 自然への恋慕をふるさとに 松岡達英 手彩銅版画「日本の自然」によせて
鎌田豊成|長岡造形大学名誉教授 


「芸術は科学的認識に縛られれば縛られるほど、真実から遠ざかる」という言葉があって「たしかに」と思わないでもないですが、松岡達英さんの作品に触れると、この言葉にいささかの違和感を抱いてしまいます。
忙しい松岡さんに無理をお願いして、大学で学生たちに描写力の指導をお願いしていた時期がありました。キャンパスに生息する野草や昆虫などを精密描写する授業でしたが、学生の観察力があまりにも粗雑なのにあきれて、松岡先生が「チョウの脚はそんな風についてないよ、こうだよ」と黒板にチョークで一筆引いた線の表情に学生たちは息をのみます。その白い線が徹底した自然観察に基づいた生物学的に正しいという以上に、「生き」ていると感じるからでしょう。
松岡さんの仕事は、自然への科学的認識を深めることで、いっそう心が解放されて、真実に近づいていくように感じられます。松岡さんにとって自然はたんなる描写や研究の対象であるより「思いを寄せる」対象だからに違いありません。
毎年4月になると胸弾ませて越後川口のアトリエに帰ってくる松岡さんは、意中の人との逢瀬を楽しんでいるかのようです。恋に落ちた画家にはどんなマジックも可能であるというわけです。今回の「日本の自然」シリーズは、そうした松岡さんの自然への恋慕を「日本のふるさと」に託して表現されたものと言えるのではないでしょうか。

新潟日報「あーとぴっくす」掲載