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2010hirano平野照子展「Diary」

2010年11月9日(火)―14日(日)10:00~18:00
会期中無休, 最終日は17:00まで.

◆ 平野照子展「Diary」によせて
井上美雪|新潟絵屋 運営委員 


展覧会を前に平野さんの制作室を訪ね、ぐらぐらが来た。作品は以前の流れを汲む、人が「いる」シリーズが続いていた。たとえば四方に行き場がある人がいる。十字の道のどれにも行ける自由を与えられた、あるいは中心にただいることを選んでいる、否、どこにも行かないことを選んでいるのかも知れない「とある人」。人には表情がない。表情を「消した」人は、奥に潜む私の幻を引き出した。とある人と私は幻の場所で過ごした。壁に、地面に線を引くその人を見ていた。一緒に舟に乗った。重い空の下に並んで佇んだ。
場所と人がパーツに別れている。作者には置きたい場所があるのだろうが、完全に接着してはいない。人をどこに置くことも叶う。立っていた人を仰向けに寝かせることができる。明かりと組み合わせた作品もある。動かせること。灯が加えられること。そのような余地が意図的に残されている。5分間燃焼のろうそくを灯し共に眺めた。ろうそくの灯りに照らされた人は光を受けると濃い影を落とす。鋭角的な影が伸び、伸縮する光と影に見とれながら、私の身体と心にもその光と影が映り込んでいることが示唆的に思われた。
今回は、作者の実際の日記から形をおこし制作したシリーズという。重みも大きさもさまざま、日々いろいろな出来事がある。時間が経つと出来事は薄れる。それを拒むように。その正直に打たれ、私はぐらぐらした。こどもの頃、お人形遊びをしたように、動かない人を見つめながら、幻の場所に出かけて帰ってきた。

新潟日報「あーとぴっくす」掲載