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2010kobayashi小林誠 長岡造形大学退任記念展-ジュエリーの旋律-

2010年3月13日(土)―24日(水) 10:00~18:00
18日(木)休郎, 最終日は16:00まで.

◆ 小林誠展によせて
上山良子|長岡造形大学名誉教授 


ジュエリーに隠蔽されたダイナミックな小林の世界。あの小さなオブジェの持つパワーの源を探った。小林は芸大の鍛金を専攻していた時代「金槌と地金の関係を体得しなければモノはつくれない」と徹底した槌打の繰り返しで体得した技量をベースとして、真剣な金属との対話をとおして、独特の粘り強さであの独自性を構築してきたのだった。「金属そのものが好奇心の対象、奥深い材料」という小林の金属への情念は材料の物理性、化学性をとらえた上で彼の感性によって高次元の形となってこの世に創出されている。それは洗礼された形であり、思わず身につけたいという衝動にかられるのは世の女性のさがである。ジュエリーと自分との関係性の中で持てる高揚感は時空を超える。小林のジュエリーの高い精神性は彼の持つ人への深い愛情から生み出されている。
長岡造形大学の創立期を支えた教授としての小林は、学部生だけでなく、小林を慕って大学院へ進み、若き作家として巣立っていった学生たちの独特の個性を育ててきた。当大学の工房での彼の16年の厳しくも暖かい指導はこの春終焉する。忙しい真最中でも誰をも暖かく迎えるあの余裕の笑顔が懐かしい。
作家としての小林は、江戸期の「工芸のこころ」に示唆をうけたという円熟期に入り、究極の美への更なる深化へ向かうことであろう。小林の手先から打ち出される漆黒の金属、渋くソフトなゴールド、瀟洒なダイアモンドとのハーモニー。小さなオブジェに何層にも込められた素材への情念と美しさへの感性の一期一会が、見る人の人生の心のジュエリーの一つに加わるに違いない。

新潟日報「あーとぴっくす」掲載