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2010hojo北條佐江子

2010年1月16日(土)―26日(火) 10:00~18:00
20日(水)休廊, 最終日は16:00まで.

生命感あふれる表現に変貌 北条佐江子展によせて
藤由暁男|福島学院大学教授 


凛とした山の空気が流れる。自宅には大学時代の実習室を模したというアトリエがあり、制作現場である。空間を埋め尽くすカンバスの数々。個展を間近にひかえているとはいえアトリエはさわやかだ。
「大地の詩」は4部構成である。一見、四幅の掛け軸のようでもある。画面の上には山か太陽といった、生命の根源が象徴的に描かれている。一方、作品の支持体は太鼓張りの木地にしっくいのように顔料を塗り重ね、彼女を象徴する魅力的な線描が彫り込まれていく。平面でありながら彫刻的空間を意識してしまうほどだ。北条の作品は20年ほど前から見続けてきたが、常に自身の物語が内在していた。最初に見たころのデッサンや本画のためのエチュードには、作家としての悩みがストレートな姿で現れていた。
しかし、個展をかさねてからの表現には目覚ましいものがある。それまで記号的な絵画言語を駆使することの多かった画面と同様、マチエールも改善され、色彩によって躍動する生命感あふれるものに変貌した。時には寓意を秘めたユーモラスなフォルムもあれば、ミクロコスモスな空間に繊細な人物を登場させる、「生」を追求した叙事詩には内発的メッセージが一層込められるようになってきた。加えて神秘的世界が常に顔を出す。それは北条作品を読み解くカギともいえ、シュールではない幻想世界の形象化にほかならない。作品と向かい合った時、主題を追求すると共に慎重にイメージの昇華を待っていた作家的姿勢によるものであろう。

新潟日報「あーとぴっくす」掲載