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2010koizumiコイズミアヤ

2010年2月20日(土)―28日(日) 10:00~18:00
24日(水)休郎, 最終日は16:00まで.

◆ コイズミアヤ展によせて
鎮西芳美|東京都現代美術館学芸員 


1996年以来、「箱」をモチーフの中心に据えて制作を続けているコイズミアヤさん。木を素材として端正に構成された箱型の作品群は一見、隙間なく閉じた印象を与えますが、実際に箱を開けていくと、あるいは中をじっと覗いてみると、次々に異なる空間が現れ、見る者の視線を捉えていきます。小さな扉、廊下、部屋、階段、檻...。そこに広がる世界は、しかし、可愛らしいミニチュアといった風ではありません。空間を目でたどるうちに、ふいに奈落に落ち、時に肉感的な塊に出くわします。明るく幾何学的な外見のなかに、何か手触りのある、思いがけない重さも秘めているのです。
日本美術では「その中で遊ぶことができる」作品を高く評価する向きがありますが、彼女の作品を見る経験はその感覚に近く、見る人をぐっと縮小させ内に誘い込む、いわば私たちのいる空間と作品内の空間とを反転させてしまう魅力をもっています。自分がその空間に取り囲まれているような、あるいは遙か遠くからその自分自身を眺めているような。手にとって作品を開いていくと、それぞれのパーツ、それぞれの空間が内側であると同時に外側でもある、精緻な設計がなされていることに気づくでしょう。それはまるで、閉ざされつつ開かれた無数の通路。コイズミさんの作品は、見る者との特別な出会い、ひそやかな遊びのための装置のようです。世界の成り立ちを感知したいと願う人の訪れにより、静かに呼吸を始める作品なのです。

新潟日報「あーとぴっくす」掲載