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2009nishikata西片亮太 鍛金展「叩(kou)のかたち」

2009年11月2日(月)―12日(木) 10:00~18:00
4日,11日休廊. 最終日のみ17:00まで.

◆ 西片亮太 鍛金展によせて
斉藤優介|燕市産業史料館 


すべてのカタチは、一枚の金属板を金鎚で叩くことから始まる。伝統的な鍛金技法を用いて、ただひたすらに幾万回も叩くことで、想い描くカタチを作り上げる作業である。鍛金技法の性質上、作品の製作過程において偶然性が入り込む余地が少なく、作り手の技量、思想がダイレクトに作品に反映される。手のひらから全てが始まり、全てが完結する小さくて大きな世界。だからおもしろい。  
近年、彼が深く追い求めるカタチは「金属の表裏を描く螺旋」自らが追い求める世界を具現化するために、伝統的な鍛金技法を学び続ける。日々彼の手から生み出されるメビウスの輪のような金属板は、生物細胞の根源である螺旋構造のDNAのように映り込む。細胞分裂を繰り返すように、作品は抽象的な複雑さを極め、新作は、いよいよ具象化され、実在する生物へと成長した。角となった金属螺旋のカタチは溢れ出る生命力の強さ、みずみずしさ、そして美しさを反映し、本能的に命のデザインを追い求めているかのように会場を生気で満たす。一日に何万、何十万回と金鎚で叩くという作業は、金属に命を宿すと同等な行為なのだろうと改めて認識する。
しかし、自己の見える範囲で完結する鍛金技法だからこそ、挑む領域は限りなく広い。才気溢れる若き作り手の全身からみなぎるものづくりへの真摯な想いと、叩くという行為の連続から生まれるカタチは、会場で私たちに何を問いかけるだろうかと楽しみで仕方がない。

新潟日報「あーとぴっくす」掲載