GALLERY MU·AN
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2009moriyama森山誠個展

2009年4月15日(水)―24日(金) 10:00〜18:00
会期中無休, 最終日は17:00まで.

◆ 森山誠個展によせて
立見迪子|ギャラリーmu·an 


森山誠の絵をはじめて見たとき、ジャコメッティがパリ留学中だった矢内原伊作を描いた「ヤナイハラの肖像I」をふと思い出した。そこには深い孤独感と虚無感が漂い、われここにありやと反芻する魂の沈黙があった。森山は札幌市在住の画家である。東京で生まれ、戦時中に一家は北海道に移住。明治生まれの父親は、小出町の出身(現魚沼市)で青年期に単身上京して以来、故郷とは疎遠になり、戦後小出町に再び帰ることはなかった。戦時中に一度だけ、幼少の森山が父親に連れられてその地を訪れた時の光景は、朧のまま時が過ぎていった。
「どこから来て、どこに行こうとしているのか」。芸術家の持つ宿命的な問いかけは、故郷すなわちルーツを見失った自己の問いかけと重なる。埋め尽くせない時の記憶に色を置き、纏いつく不安定さと不確かさを広い空間に放し、自己の行き先と回帰を模索し、無意識から湧き出るままに描き続けている。それは一方で、現代に生きる私たちに、見えない先の不安を暗示し予感させる。
広い空間構成を絶えず意識して描くという森山の深層に潜んだ原風景は、記憶にわずかに残る魚沼の風景と、北海道の広い荒涼とした大地なのかもしれない。
この3月に、小出町で味噌麹店を営んでいる父親の実家をさがし訪ね、親族との温かな再会ができた。それは夢のような喜びだったという。新潟県での個展が、自己回帰の旅となり、次へ向かう新たな出発になったら嬉しいことだ。

新潟日報「あーとぴっくす」掲載