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2009ogawa小川宏展『Article print』

2009年3月10日(火)―17日(火) 10:00〜18:00
会期中無休, 最終日は17:00まで.

◆ 小川宏展『Article print』によせて
瀧澤直人 


小川さんは面白い。頭の回転が速く、話し始めると美術史から現代のアート状況、文化論、世相や社会問題までとめどなく溢れ出す。好奇心と行動力は若い人顔負けでさまざまなものを観て回る。人間としての幅が作品にも反映する。端正で静謐な木版画から、ミニマルな幾何学絵画、そしてアートテロリストとしてメッセージアートはじめアートの枠を問い直すような各種の試みを仕掛けもする。
自意識の垂れ流しでなく自分の立ち位置を客観的に見る批評性に基く作品は同時に頭でっかちにならず感性のきらめきを示し、右脳と左脳のバランスがよくとれている。一見するとアバンギャルドな書のような、墨色のストローク跡が律動を伴い心地よく余白に映える今回の作品群は、しかし版として起こされ刷られるという過程を経て、瞬間の手業が客観的美意識にろ過され定着している複層性を持つ。
世界に在る美は人が認識してこそアートなのであり、人の感性と手を通してアートは成り立つ。ひとつひとつ個別(アーティクル)の版画は、それ自体が美に関する論説(アーティクル)であり、そしてひとつの商品(アーティクル)なのだ。
なんて考え込むと、「ちょっとずれてるなあ」と小川さんは笑うのだろうけど。

新潟日報「あーとぴっくす」掲載