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2008kanaya金谷範子展

2008年3月16日(日)-30日(日) 10:00~18:00
会期中無休, 最終日は16:00まで.

◆ 金谷範子展によせて
藤由暁男|福島学院大学教授 


久しぶりにすっきりとした、しかし緊張を求められる展覧会に出会った。空間構成はさすがで、作家以上に作品が語りかけてきた。作品はこうあるべきなのだと納得させられる。白地のフェルトキャンバスに「金谷ブルー」がしみ込んで行く。その上に白や金色に輝く線、それは時間を走るストロークとなって、飛び出してくる。1メートル幅で3メートル以上の長さのフェルトが2枚ないし3枚並列に配置される。それは床から壁に立ち上がるかのようにのび、堅牢な画面はスポットの光をストレートに反射している。
しかしこの作品にはさらなる演出が加えられていた。背景にある壁の一部が外され、キャンバスの裏側にやわらかな自然光があたる。その光はキャンバスを透過して色の持つ特質を押し出してくる。眼前には平面絵画でありながら、3D絵画が誕生した瞬間であった。近年はシリーズ「OverTheGarden」と呼ばれるように、自宅の庭で制作し、額縁を飛び出した大型絵画が中心である。その大きな作品は、その大きさ故にいかに密度の濃い作品に仕上げるかが勝負である。その為の工夫が面白い。
ある時は自身の饒舌さ以上に、支持体のキャンバスに語らせる。今回のような樹脂系の不織布であるフェルトであったり、荒い布目の麻キャンに確かな支持体を託す。その上に油絵の具の不自由さを避け、アクリル系絵の具や塗料といった自由に取り扱うことの出来る素材が縦横無尽に走り、作家の意図をも超えて濃密な世界を醸し出す、その絵作りは「瞬間」の勝負となる。とは言ってみたが、それは「計算」し尽くされた作家の仕掛けなのであろう。